天日槍物語 但馬理想の都の祭典

注: 下記に記載されている年月日は プログラム発行当時のものです。

但馬人万歳  日本ミュージカル研究会・劇団JMA 主宰 高井良純

 私の古代ミュージカルは、1975年「光をもとめて」(古事記天の岩戸)、 1992年「邪馬台国物語」、今回の「天日槍物語」で古代ミュージカル三部作の完結という、私にとって記念すべき作品となりました。
 尾上尚子氏のファンタジックに描かれた絵本「天のひぼこ」、古事記、日本書記等、手に入る限りの関連書を参考に、多くの考古学者の お話を伺い、加えてドラマの主人公ヒボコの故郷韓国に取材、多数の専門家、長老とお会いし御教示戴けた事を心より感謝申し上げます。 ただ、このドラマの時代の設定が難しく、記・紀を比べても100年以上の差があり、自分流に4世紀半ば頃と設定しました。ヒボコの 登場した頃は、既に鉄器が輸入され使われていたと考えられるので、より高質の鉄生産を可能にした人物として描いてみました。ヒボコはその鉄で、 武器ではなく、円山川の治水工事に必要な強くて硬い (くわ)(おの)(つち)等を 生産した結果、村人の生活は想像以上に豊かになったものと考えられます。
 ヒボコは外国人であるにも関わらず絶大な尊敬を受けた事は言うまでもなく、村長の娘マタオとの結婚もむべなるかな。治水・鉄と言う硬派の話を縦糸に、 ヒボコマタオのラブストーリーを横糸に編んでみました。
 今回のハイライトは、何と言ってもオーディションで選ばれた出演者、それを支えたボランティアで参加された裏方の方々でしょう。寒い冬も猛暑の夏も、 仕事や学業の合間をぬって、良くやり抜いてこられたと思います。 但馬の方は、自分達の事を“タジマジン”と、一寸誇らしげに言われるのをよく耳にします。今日の舞台は、真に但馬人の根性が実現させたと言えるでしょう。
 スタッフは、我が国振付界の第一人者である山田卓氏や美術に 板坂晋治氏を始め各階の第一線で活躍されている方々と仕事が出来た事を幸せに思います。
 最後になりましたが、この企画にお誘い戴きました宮本範熙氏、お世話になりました但馬ミュージカル制作・上演実行委員会、 但馬・理想の都の祭典実行委員会の全ての方々に、この場を お借りし、御礼申し上げます。  
(公演当時のプログラムより転載)




新羅の王子 ヒボコ as 川口竜也

注: 下記に記載されている年月日は プログラム発行当時のものです。

思ってもみない幸運  作家 尾上尚子

 但馬とのご縁の始まりは、7年前に出版した絵本『天のひぼこ』 でした。それが後にミュージカルなるなんて‥‥思ってもみない幸運に恵まれました。
 このたび、ミュージカルにとのことで書いた「天日槍物語」。高井良純氏によって、こんなにスケールの大きなミュージカルに生まれかわりました。高井氏の豊かな感性から創りだされたモダンな 音楽にのって、ひぼこは現代の但馬に (よみがえ)ったのです。 そして多くの人々に愛され、みんな地元の人たちで創りあげるミュージカル。熱気ある練習風景にじわっと込み上げてくる底力を感じました。但馬と日本ミュージカル研究会の将来に、大いに期待しています。
(公演当時のプログラムより転載)


天(あめ)のひぼこ



村長の娘 マタオ as 高井さや花

注: 下記に記載されている年月日は プログラム発行当時のものです。

おめでとう! 但馬の皆さん
日本ミュージカル研究会25周年  
振付家 山田 卓

 ミュージカルは、心が浮き立つような楽しさがあるが、それをつくるには、大変なエネルギーが必要だ。 今回の但馬のミュージカルづくりに参加して、二つの力が一つになったように感じた。一つは、但馬では初めてのミュージカルをみんなの手でつくろうと頑張り抜いた但馬の人たちの熱気である。 もう一つは、25年の長きにわたって、オリジナル・ミュージカルを創ってこられた高井良純氏と日本ミュージカル研究会の情熱である。地域あげて取り組まれた大作の振付を担当して、私も学ぶことが多かった。おめでとう!但馬のみなさん、日本ミュージカル研究会25周年―。
(公演当時のプログラムより転載)




新羅の王子 ヒボコ as 川口竜也

注: 下記に記載されている年月日は プログラム発行当時のものです。

舞台によみがえる  
  鉄器文化革命  大阪府立弥生文化博物館長・天理大教授  金関 恕

 向こうの山に登ったら、山の向こうは村だった。村には田圃が続き、その先に青い海が広がっている。この詩の景色は 小学校で習って以来、目に焼き付いていて、思い出すたびに強いノスタルジアをそそる。 出石盆地の景色はもっと大きくて、海への距離も遠いけれど、歌われた日本の原風景をよく保存している。盆地の世界はその 地形の中で完結していて、外からの介入を拒もうとする。 しかし時には新しい情報や技術をもたらす異界の人々があって、盆地の暮らしは一変する。
 最古の古典である『古事記』は、この改革者を新羅の王子、天日槍だとしている。 西日本の各地に流布していた鉄器革命の英雄伝説が出石に集約されたのであろうか。しかし最近この地で行われた発掘調査は、 日本における鉄生産の起源地が、丹波から但馬の一帯に当たることを、考古学的に明らかにしつつある。
 この度、神に愛された魅力のある英雄、天日槍の物語が、最新の演劇型式であるミュージカルとして、しかも英雄の 子孫たちの手によって上演されることになった。このミュージカルの公演が、かつての鉄器文化革命と同様、全国に劇的な 興奮を盛り上げることを期待したい。
(公演当時のプログラムより転載)




鉄を造る

注: 下記に記載されている年月日は プログラム発行当時のものです。

地域の掘り起こしと  
        学問研究  豊岡市郷土郷土資料館館長 瀬戸谷 晧

 但馬・理想の都の祭典の目的は、究極のところ「地域起こし」や「地域発展の起爆剤」たることだろう。だからこそ今、「文化」が見なおされ、日ごろ「文化」に疎遠な人たちを含めて、「地域の掘り起こし」が、 「大但馬展」に、「ルーツを探る探訪団」事業に、また複数の市町の講演会やシンポジウムに、さらにはこの「天日槍物語」に直接・間接活かされることは、いささかのかかわりをもってきたひとりとして ありがたいことである。
 いままで、この但馬でも多くの遺跡が調査され、そして破壊されてきた。その代償として、しかし私達は多くを学び、 成果を獲得してきた。この成果は、研究者や愛好者の独占物でなく、まして自治体の所有物でもない。まさに国民共有の財産なのである。 そうした意味で、厳密にはすこしばかり問題は残るが、研究の成果を活かし、地域に還元していく営為という観点からは、 右のそれぞれはいずれもすぐれた事業といえる。
 それはとりもなおさず、同志社大学の森浩一教授が指摘する「地域に勇気を与える学問」としての考古学や歴史研究がこの但馬に 健在なこと、「地域起こし」に有効に作用していることをしめしていよう。
(公演当時のプログラムより転載)

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